歯の表面につけるアタッチメントって何?矯正歯科医師がわかりやすく解説!

マウスピース矯正

アタッチメントとは?

アタッチメントとは、歯の表面につけるプラスチックの突起のことです。なぜマウスピース矯正に必要かというと、歯の移動を正確に行うためです。
 
このアタッチメントを歯の表面につけることで、表面積が大きくなりマウスピースがぴったりはまりやすくなります。これにより、マウスピースが合わなくなることが減り、正確かつ安全に歯の移動を行うことができるようになります。
アタッチメントは、歯と同じ色の樹脂を歯に接着させますが、治療終了時には完全に外します。新しいマウスピース製作時(スキャン時)に不要になったアタッチメントは外して歯型を取ることがあります。また、結婚式や成人式など大切な写真撮影がある前にも外すことができるため安心です。少々違和感はありますが、2-3日程度で気にならなくなります
 
アタッチメントは、樹脂でできているため吸水しやすく着色しやすいため、丁寧に歯磨きを行い、着色が著しい場合にはPMTCを受けましょう。
 
アタッチメントの数や形状、設置場所については、各ドクターの動かし方によって変化します。治療計画によって全く違いますので、気になったらドクターに聞いてみましょう。

アタッチメントの役割

アタッチメントには、それぞれの役割があります。治療ゴールに向かってドクターがアタッチメントの数や位置、大きさなどを設定し、歯を最適かつ正確に移動させます。

アタッチメントの主な役割は以下になりますが、ドクターの考え方によってこのほかにも様々な役割があります

役割①  ✨歯をつかみやすくなる

アタッチメントが歯の表面に装着されると、マウスピースのフィッティングが向上します。
表面がツルツルの歯に凹凸ができ、表面積が大きくなるためマウスピースが歯をつかみやすくなり、正確なコントロールができるようになります。
3mm〜5mmの長方形アタッチメントを使用することが多いです。

役割②  ✨歯を回転させる

歯を回転させたい場合には回転用最適アタッチメントを設定します。
歯が効率よく回転するようにアタッチメントに力がかかる方向を考え、アタッチメントの位置を設計します。
この回転力がかかるアタッチメントの表面のことをアクティブサーフェスと言います。

役割③  ✨歯の軸の角度をコントロールする

2つの小さなアタッチメントを設置することで両側から力がかかるようになり、歯の軸をコントロールできるようになります。
この2つのアタッチメントにより、歯の根っこまでコントロールできるようになり、理想的な歯の向きを与えることができます。

役割④  ✨前歯を引っ張る

上下の歯の間に隙間がある場合、歯を引っ張る方向に力がかかるアタッチメントを設定します。
専門用語でこの動きを挺出(ていしゅつ)と言いますが、引っ張り出すことによって隙間を埋める動きを行うことができます。

役割⑤  ✨前歯4本を同時に引っ張る

開咬(かいこう、オープンバイト)の歯並びに対して、上の前歯4本にアタッチメントを設定すると、上下の歯の隙間を閉じる動きができるようになります。
マウスピース矯正では、特にこの上下の歯の隙間を同時に埋めていく動きが得意です。

役割⑥  ✨奥歯を引っ張る

奥歯の高さを高くしたいときには、奥歯を引っ張り出すためのアタッチメントを設定します。
過蓋咬合(かがいこうごう、ディープバイト)などかみ合わせの高さが欲しい歯並びの場合によく設定されます。

役割⑦  ✨奥歯を回転させたり沈める

奥歯を回転させたり、奥歯を沈める動きのためのアタッチメントです。後ろに移動させるときにもよく設定されるアタッチメントです。
マウスピース矯正では、一番奥の歯を後ろに移動させたり回転させる移動が得意です。この動きのおかげで、ガタガタだから歯を抜くのではなく、非抜歯で治療する選択肢が増えます。

役割⑧  ✨下の前歯を沈めるときの固定源

下の前歯を骨の中に沈める動き(黄色矢印)を行うときに、反作用で犬歯や小臼歯には赤色矢印の力がかかります。
この赤色矢印に対するアタッチメントを設定することで反作用の力を干渉させることができ、予測実現性の高い歯の動きが可能となります。

役割⑨  ✨上の前歯を下げるときの固定源

見た目を気にされてどうしても前歯を下げたく、小臼歯を抜歯せざるを得えない場合には、前歯6本を後ろに下げる必要があります。
このとき、黄色で囲った奥歯6本(左右)の塊を固定源として、前歯6本を後ろに下げていきます。
この奥歯6本が動かないようにすることを最大の固定と言い、この時に固定源用(アンカレッジ用)アタッチメントが設定されます。

役割⑩  ✨上の犬歯の軸を保ったまま下げる

前歯6本下げる場合には、犬歯の歯の角度をコントロールする必要があります。
このときに設定されるアタッチメントを後退用(リトラクション用)アタッチメントと言います。

アタッチメントが外れたら?

アタッチメントは、歯の移動を助けるために重要な補助装置です。アタッチメントが外れてしまったらまずは矯正歯科医院に連絡し、指示を仰ぎましょう
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