八重歯(やえば)

歯並びの種類

八重歯(やえば)とは?

八重歯(やえば)は、顎が小さく歯が生えるスペースが不足して、上顎(うわあご、じょうがく)の犬歯(けんし)が歯列(しれつ)の外側に飛び出している状態を指します。
日本では可愛いとされていた八重歯は、ヨーロッパでではドラキュラと表現され、悪い歯並びとされています。犬歯は正常な位置にあると横揺れに対してその他の歯を守ってくれる役割があるのですが、八重歯の状態になると歯として機能しないため上下の他の歯が長持ちしにくくなる可能性があります。

八重歯(やえば)を専門用語で表現すると上顎犬歯(じょうがくけんし)の低位唇側転位(ていいしんそくてんい)といい、歯の咬む面(咬合平面:こうごうへいめん)に達しておらず、かつ唇側に飛び出ている状態をさし、叢生(そうせい、ガタガタ)と呼ばれる状態の1つです。

八重歯(やえば)が上あごに多い理由

八重歯が上顎によくみられる理由は、犬歯が側方歯群(そくほうしぐん:犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯のこと)の中で一番最後に生えるからです。6歳臼歯である第一大臼歯が生えると、前歯が生え、その後第一小臼歯、第二小臼歯、犬歯という順番で生えてきます。

番号で説明すると、6(第一大臼歯)→1(中切歯)→2(側切歯)→4(一小臼歯)→5(第二小臼歯)→3(犬歯)という順番です。

このため、最後に生える犬歯のスペースがないと外側からしか生えてこれなくなり、八重歯という状態になるのです。下顎は生える順番が違いますので、外側に飛び出ることは少ないのです。

八重歯(やえば)の原因

八重歯は叢生(そうせい、ガタガタ)の1つの症状であるため、叢生の原因と同じく奥歯が倒れこんでくることによって奥歯より前方のスペースに不足が生じ、結果として八重歯という症状があらわれます

下の図をご覧いただくとご理解いただけると思いますが、奥歯が傾斜してくること(黄色のライン)により犬歯が生えるスペースがなく、外側からしか生えることができませんでした。また、右側(下図では左側)の奥歯の倒れこみの方が反対側よりも強いため、犬歯が生えるスペース(赤矢印↔︎)も少ないことがわかります。このように奥歯の倒れこみが原因でスペース不足が生じ、ガタガタが症状として発生しているのです。

奥歯の近心傾斜(前方傾斜)により八重歯という症状があらわれている例

八重歯(やえば)の症状と問題点

横揺れに対してほかの歯を守ってくれる犬歯としての機能がないため、上下の他の歯が長持ちしにくくなる可能性があります

・ガタガタによって歯ブラシが届かないため重度の虫歯になる場合やひどい場合には歯を支えている骨まで吸収することがあります

・犬歯や側切歯の磨き残しが多くなるため口臭の原因となります

・犬歯により上下の歯の間に隙間がある場合には、サ行やタ行などの発音時に息が漏れ、発音障害を引き起こします

・かみ合わせる時に前から2番目の側切歯に早期接触(そうきせっしょく)があると、顎がずれて顎関節症になるリスクがあります

・八重歯によってかみ合わせがアンバランスな状態が続くと、噛む筋肉である咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)あるいは首の周囲の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)、僧帽筋(そうぼうきん)などの筋肉に慢性的な血流障害が生じ、偏頭痛や肩こりを招くことがあります

・八重歯に限りませんが、かみ合わせがずれていると食べ物をうまく噛みきれなく、粉砕が不十分なまま胃に送られるため、胃や腸などの消化器官へ大きな負担をかけ続けます

まとめ

八重歯は叢生の症状の1つであり、原因は奥歯であることがほとんどであるため、安価な部分矯正で前歯や小臼歯のみを治療するのではなく、奥歯までしっかり治療してくれる医院に相談しましょう。

かみ合わせの不調和があると、虫歯のみならず消化器への負担、顎関節への負担、筋肉への負担が生じ続けますので、早期に矯正相談へ行かれることをお勧めします。

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