叢生(そうせい、ガタガタ)

歯並びの種類

叢生(そうせい)とは?

歯の並ぶスペースなくガタガタの歯並びのことを叢生(そうせい)と言います。
叢生(そうせい)は、日本人の不正咬合(ふせいこうごう)の種類中で最も多いとされており、磨き残ししやすいため虫歯や歯周病になりやすい歯並びの状態です。下の歯が上の歯に当たる場合には、下顎(したあご、かがく)が偏位(へんい:左右いずれかにずれている状態)している可能性もあり、スプリント治療(あごの位置を治す治療)が必要な場合もあり治療が複雑になるケースもあります

軽度の叢生の例

奥歯が内側に倒れてきていることによりアーチ全体が小さくなり、前歯の並ぶスペースが少し足りなかった歯並びの状態です。このような歯並びはアーチ全体を側方に拡大することによりスペースが確保され前歯のガタガタが解消されます。

前歯のガタガタだからといって安価な部分矯正や歯を削って治療を行うのは本末転倒です。ガタガタの原因は奥歯にあるため、奥歯まで治療してくれる医院に相談されることをお勧めします。

重度の叢生の例

親知らずによって奥歯全体が前方に押されて傾斜するのと同時に側方への成長拡大が足りなかったため、おしくらまんじゅうの状態になり前歯にガタガタが現れています。このようなガタガタの場合には親知らずを抜歯し、そのスペースも利用し奥歯を正しい位置に戻すことで歯を抜いたり削ったりしないで矯正治療が可能です。

ただし、上顎の右の2番目(画像では上顎の左側の2番目)の歯が内側に入っているため、かみ合わせる時に下の歯にあたる可能性があり、下の歯にカツンとあたって顎が左右どちらかに誘導され顎関節症を招いている可能性もあります。このため、術前の精密検査が必要不可欠です。

叢生(そうせい)の原因

叢生の原因は、奥歯が倒れこんできていることによるものがほとんどです。奥歯が前方に倒れてくるとそれより前の小臼歯、犬歯、前歯の並ぶスペースがなくなりおしくらまんじゅうの状態になり、ガタガタが発生するのです。一度奥歯が倒れこんでくると自然に治ることはないため、奥歯を正しい位置に戻す治療が必要になります。

下の図をご覧いただくとよくご理解いただけると思いますが、奥歯が前方に傾斜してくること(黄色のライン)により右側(下図では左側)の犬歯が生えるスペースがなく、外側からしか生えることができませんでした(赤丸)。一旦は生えることができたものの、内側に入りたかったため唇や頬の筋肉の力もあって2番目の歯を押してしまい、結果として2番目の歯が内側に入ってしまいました(青丸)。

奥歯の傾斜角度の違いにより、八重歯が生じている例

このように奥歯の傾斜角度の違いにより叢生と呼ばれるガタガタの状態が症状としてあらわれてくるのです。このため、何度も言いますが歯を抜いたり削ったりしてガタガタを解消するのは本末転倒です。奥歯の傾斜角度を改善させることや側方に広げることによってガタガタは解消できるのです。

奥歯の倒れこみ以外にも、顎の発育が不十分な場合や永久歯の交換がうまくいかなかった場合、爪を噛む癖などでも発生することがあります。

叢生(そうせい)の症状と問題点

・ガタガタによって歯ブラシが届かないため重度の虫歯になる場合やひどい場合には歯を支えている骨まで吸収することがあります

・磨き残しが多くなるため口臭の原因となります

・かみ合わせる時に早期接触(そうきせっしょく)があると、顎がずれて顎関節症になるリスクがあります

・叢生によってかみ合わせがアンバランスな状態が続くと、噛む筋肉である咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)あるいは首の周囲の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)、僧帽筋(そうぼうきん)などの筋肉に慢性的な血流障害が生じ、偏頭痛や肩こりを招くことがあります

・叢生に限りませんが、かみ合わせがずれていると食べ物をうまく噛みきれなく、粉砕が不十分なまま胃に送られるため、胃や腸などの消化器官へ大きな負担をかけ続けます

まとめ

叢生(ガタガタ)は日本人の不正咬合(ふせいこうごう)の種類中で最も多く、軽度から重度までさまざまな状態があり、顎関節の症状がある場合とない場合とがあるため精密な診査診断が必要不可欠です。この叢生の原因は奥歯であることがほとんどであるため、安価な部分矯正で前歯のみを治療するのではなく、奥歯までしっかり治療してくれる医院に相談しましょう。

かみ合わせの不調和があると、虫歯のみならず消化器への負担、顎関節への負担、筋肉への負担が生じ続けますので、早期に矯正相談へ行かれることをお勧めします。

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