翼状捻転(よくじょうねんてん)

歯並びの種類

翼状捻転(よくじょうねんてん)とは?

前歯の真ん中の2本が翼のようにねじれている状態翼状捻転(よくじょうねんてん)と言います。
叢生(そうせい)や八重歯(やえば)と同じく、歯が生えるスペースがなかったことが原因でこのような歯並びが生じます。翼状捻転(よくじょうねんてん)は、見た目以上に歯のスペースが必要であることが多いため、部分矯正だけでは不十分で奥歯の傾斜を治したり側方への拡大が必要です。

翼状捻転(よくじょうねんてん)の原因

翼状捻転は、叢生(そうせい、ガタガタ)の1つの症状ため原因は奥歯の倒れ込みです。生え変わりの時期に奥歯が倒れ込んでくることにより、犬歯第一小臼歯第二小臼歯はなんとかアーチの中に生えることができたけれど、予想した以上にスペースが足りなくて2番目(側切歯)の歯が内側から1番目の歯(中切歯)を押すことによって翼状捻転となりこの捻転(回転のこと)によりスペース不足を解消したと考えると理解しやすいです。

翼状捻転で、少し出っ歯になるのはこのように内側から押されてくるためです。下の図をご覧いただくとよくご理解頂けると思いますが、奥歯の倒れ込みという原因(黄色のラインと赤矢印)が、前歯のガタガタという症状(赤丸)をつくりだしています。ですので、歯を削ったり抜いたりする治療はあくまで対症療法で、原因療法は奥歯まで含めた矯正治療となります。

翼状捻転が引き起こされるメカニズム

上記メカニズム以外にも、過剰歯(かじょうし:余分な歯のこと)により押されることが原因であったり、上唇小帯(じょうしんしょうたい:上唇を上に引っ張ると見える線)の付着異常が原因、あるいは爪を咬む癖などが原因で翼状捻転が起きるケースもあります。

過剰歯(白色点線)による翼状捻転の例
(引用:第105回歯科医師国家試験 D-45)

翼状捻転(よくじょうねんてん)の症状と問題点

見た目以上にガタガタの量が多いため、部分矯正では対応できず、奥歯まで含めた治療が必要である

・前歯のガタガタにより歯の裏側に舌をあてて音を出す「タ行」などの発音障害を伴っていることがある

・前歯のガタガタに下の歯があたることで顎や奥歯のかみ合わせがずれて顎関節症を伴っていることがある

口呼吸を伴っていると、さらに出っ歯がひどくなりやすく口が閉じにくかったり、虫歯や歯周病リスクも高くなる

翼状捻転は後戻りしやすいため、治療後の保定装置(リテーナー)の使用が必須であり、注意深く観察する必要がある

まとめ

翼状捻転は、前歯2本が鳥の翼のようにねじれている状態ですが、原因は奥歯が倒れ込むことによって前歯に症状があらわれています。前歯に症状が出ているからといって前歯だけを治すのではなく、顎や体全体にとって適切な位置に奥歯を並べる必要性があります。見た目の問題だけでなく、発音がしにくかったり、顎がずれていたり、顎のずれによって首の周囲筋が硬直し、肩こりや筋痛などを伴っているなど機能的な問題を抱えていることもあるため、これらの症状がある方は一度矯正相談に行かれることをお勧めします。

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